ハンガリー大使 ナジ・ゾルタン氏(Nagy Zoltán)

過日ハンガリー大使館主催の「ハンガリーワインの夕べ」に招待を受けて出席しました。

挨拶に立たれたハンサムでキビキビした立ち振舞いの大使とそのユーモアに富んだ会話に試飲会は大盛況でした。そのせいか俄然ハンガリーに興味をもった私ですが、知っているようであまりにもハンガリーのことを知らないことに思い至りました。

 

かろうじて頭に浮かんだのが「エリザベート王妃」、「グーラッシュ」、世界三大貴腐ワインの一つ「トカイワイン」、磁器の「ヘレンド」、「ドナウ川」ぐらいで、五指にも足りません。幸いなことにハンガリー料理のランチのご招待をいただき、博学の大使からハンガリーについていろいろ教えて頂くことができました。大使館は静寂なウックル区にあり、アール・デコのシャンデリアや家具は名磁器ヘレンドを引き立てています。 

国際安全政策のとびっきりのエキスパート

ナジ大使はブタペスト生まれの48歳。ブタベスト大学で経済学及び国際関連で学位を取り、外務省でのジョージア・チェチェン自治共和国関係の議事長のアシスタントを皮切りに、もっぱら国際間の安全保障対策の道を進まれました。ボスニア・ヘルツェゴビナ共和制国家の安全保障対策、ヨーロッパ安全・協力局勤務を経て、96年から国防省に移籍。99年からナトー(北大西洋条約機構NATO)のハンガリー代表としてブリュッセルに4年勤務。11年後、再度ナトー勤務となり、国際事務局長として多国間問題の安全政策の責任者として腕を振るいました。本国の外務省儀典局の重責を担った後、2015年からベルギー及びルクセンブルグの特命全権大使となり現在にいたっています。

偉大なハンガリー

ランチを頂きながら、ハンガリー人のこと、その歴史や地理、特産物などの話を伺い、偉大なハンガリーに開眼しました。

観光面では数々の温泉地、自然温水湖、見逃せないのが羽毛、刺繍製品、ガラス製品。その他、音楽家フランツ・リスト、ビタミンCの発見などにより1937年度ノーベル生理学医学賞を受賞したセント=ジェルジ・アルベルトなどの偉人たち。フォアグラ、サラミ、ワイン。料理ではグーラッシュ以外にもトマトと青唐辛子などの野菜の煮込みのレチョー、多種のダンプリング。デザートのパラチンタ(クレープ)、レーテシュ(シュトゥルーデル)、ゲステニェピュレ(モンブランの栗部分)等々、知れば知るほど奥行きが深い国です。 

近年ではノーベル文学賞のイムラ ・カーテェス(2002年)、水泳のヨーロッパチャンピオンのカティンカ ・ホス(2015年)。今年の料理界のホットニュースは、「ボキューズ・ドール」の出場者を決めるヨーロッパ選抜戦で優勝したトマー・シュセル。


「ボキューズ・ドール」とは、料理界の法王といわれるポール・ボキューズが30年前に創設した「料理の世界一」を争う権威ある大会のことです。大会で多くの優勝者を出しているスエーデンやノルウェー代表を差し置いて一位になったハンガリーの料理人。世界の目がいまハンガリーに注目しています。2017年1月末にフランスで行われる決勝戦が楽しみです。

味わい深いランチ

※写真はクリックすると拡大されます。

ランチは、カモ肉とジンジャーのスープから始まり、ビート(甜菜)のカルパッチョと焼いたヤギのチーズ。メインが鶏のパプリカ煮、ダンプリング添え。そしてクリームチーズ(Rákóczi)のデザート。すべてにヘレンドの食器が使われ、ワインも食事により異なり、最後はトカイワインで締めくくられたしみじみと味わい深い料理でした。 

ハンガリー人は必ずスープを最初に頂くことや付け合わせには酢漬けの野菜をたくさん食べること、国民食であるパプリカはビタミンCの含有量がとても多いこと(前述の生理学者はパプリカでビタミンCを発見)、名前の呼び方も日本と同じで、姓が最初で名前が続く等、衣食住や文化に関して幅広い知識を得ることができました。「もてなし精神」に溢れた賢いハンガリー人の一面に触れ、温泉大好きな日本人としては俄然次のバカンスに訪れたい国になりました。

ブタペストの有名な2つの温泉

-Szechenyi Thermal Bath

http://www.szechenyibath.hu/

 

-Gellert Termal Bath

http://www.gellertbath.hu/

 

一番大きい温水湖(ヘーヴィーズ湖)

HEVIZ

http://www.heviz.hu/en

 

ハンガリー観光局

http://jp.gotohungary.com/