Rhubarbe(ルバーブ:大黄)

2015年7月

 

 

初夏のタルトの具として欠かせないルバーブ。でも西欧人がこの野菜を頻繁に食べるようになったのは18世紀の半ば頃。それまでは漢方薬として扱われていました。


ルバーブとは?

ルバーブは一抱えもある大きな濃い緑色の葉と緑がかった赤紫の太い茎からなる、チベット/モンゴル原産の多年生の植物です。中国大陸では4千年も前から薬用植物として栽培され、食欲促進、強壮剤、利胆薬、下剤、防腐といった効能を持つ万能薬として有名でした。「ルバーブ」という名は、ラテン語のreubarbarumに由来し、「野蛮人の根」と言う意味です。この場合の野蛮とは「珍しいもの」、「異国のもの」といった意味合いで、キリスト教徒から見ると異邦の民である蒙古系のタタール族がヴォルガ河の岸辺で栽培し好んで食べる植物だったからです。


この植物はマルコ・ポーロが東方から持ち帰ったという説もありますが、8世紀頃のアラブ料理には既に甘味や塩味をつけたルバーブのレシピがあることから、マルコ・ポーロよりだいぶ以前にアラブ人がこの植物を薬草として西欧に持ち込んだというのが真相でしょう。16世紀の商人が性病の特効薬として最も珍重したのが中国製のルバーブの漢方薬で、ロシアやトルコ経由で西欧に輸入されました。

 

薬草から食材へ

ところで、食材として見られていなかったこの植物、いったいどこの誰が食べ始めたのでしょうか? 実はイギリス人です。

ルバーブの茎は、そのまま食べると思わず顔をしかめるほど酸っぱく生食にはあまり適していません(でもそのため食後は胃がスッキリするのですが)。ところが、イギリス人がルバーブに砂糖を加えパイの具にすることを思いついたとたん、頬が落ちるほどおいしい素材に変身。更にリンゴやイチゴまたシナモンやジンジャーとの相性の良さも手伝い、それまでの漢方薬としての地味な立場から一躍栽培野菜のトップへと躍り出ました。ただ残念なことに、茎のみでは100g当たり21kcalと低カロリーにも拘わらず、いつも砂糖と併用されることでカロリーが高くなってしまいます。でもルバーブは薬草だけあって、ビタミンB1B2B6、そしてビタミンC、カルシウム、リン、カリウム、マグネシウム、鉄分といった体に必要なものがたっぷりと含まれています。砂糖の量を加減して是非食べたい野菜です。

 

選び方や食べ方

ルバーブの白い花
ルバーブの白い花

・茎はしっかりと締まり、硬くポキッと折れる位が新鮮。しみが無いものを選ぶ。

葉は収穫後1時間でしおれるので切ってあるのが通常。

・冷蔵庫の野菜室で約1週間もつ。冷凍保存に最適。皮を剥き小さく切ったもの

を生のまま冷凍するかコンポートなどに調理した後冷凍。

・葉はシュウ酸を多く含むため苦いが便秘には効果がある。しかし一般家庭では食用

にはしない。

・茎はセロリの筋をむく要領で皮をむき調理する。たくさん出る水分は煮て飛ばすが、長く煮るとトロトロに溶ける。

 

★ 簡単コンポートの作り方

ルバーブ200gの皮をむき2センチの長さに切る。電子レンジ用の容器にルバーブ、オレンジ1/2個分の絞り汁、砂糖60gを入れる。ラップをして高温で約3分。ヨーグルトやアイスクリームのトッピングにどうぞ。