フェンネル
フヌィユ(仏)ウイキョウ(和)
2015年9月
フェンネルは地中海沿岸が原産といわれるセリ科の植物です。古代ギリシャ・ローマ時代から、野菜として、またハーブや薬として使われてきました。その呼び名(fenouil)の語源は、ラテン語のfeniculum、「小さな干草」という意味です。干草ということでも分るように、どこにでも自生していた植物だったようです。15世紀、イタリアのトスカーナ地方で本格的に栽培が始まりました。
フェンネルの効用
フェンネルはその形から球根と思われがちですが、球根ではありません。食用部分は、茎(植物学的には葉)なのです。肉厚で幅広の膨らみを帯びた白い茎は一枚ずつしっかりと重なり合い、その先に細い濃緑の葉がまるで鳥の羽のようにフワフワと伸びています。スッキリとした香りはアニスに似ており茎も葉も食べられます。
注目すべきはその驚くほどの栄養素。カリウムは100g中430mg、鉄分は100g中2,7mgと傑出しているうえ、ビタミンCが多い野菜のベスト5に挙げられます。ミネラル分も、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム等と多く、しかも繊維が豊富。ストレスの多い現代人にぴったりの野菜といえます。
調理法と保存
生はシャキシャキと歯ごたえが良く、加熱したものは甘く優しく、セロリと同じ要領で調理できます。牛肉、豚肉、子羊肉、魚介類に用いられ、フェンネルシードは、チーズ、パン、ビスケット、スープ、ソースに利用されます。傷のない真っ白な肉厚の茎と、茎の先の細い葉が生き生きとしているものが買うときの目安です。小さいものの方が柔らかいのでサラダ向きといえましょう。冷蔵庫の野菜室なら3~4日は保存可能ですが、栄養価はだんだん無くなるので早めの調理が理想的。
<参考調理法>
①サラダ用:
生をスライスし、レモン汁とオリーブオイル、塩・コショーで和えサラダ菜と混ぜる。また、フェンネルに、スライスしたリンゴ、さいの目のチーズ、輪切りのキウィイ、生やスモークした鮭を加え、ドレッシングや生クリーム、ヨーグルトと和える。
②ココット鍋にオリーブオイルをひき、フェンネル、レモン汁を入れ弱火で蒸し煮に。ピーマン、トマト、玉葱、そしてローリエ、コリアンダーを加えて、肉や魚の付け合せに。
③強い香りに馴染みがない人は、熱湯で塩茹でし、ホワイトソースをかけグラタンにすると食べやすい。