Mr. Jonathan Brenton (British Ambassador)

2013年9月

イギリス大使、ジョナサン・ブレントン氏とお会いしたのが、友人の誕生日パーティーだった。我々が友人宅に到着したと同時に他の車が到着した。車から降りようとする長身の男性は、左足にギブスをはめていたので降りるのにだいぶ苦労していた。さらに都合が悪いことに、玄関まではかなりきつい石段を登らなければならない。しかし、気を使う回りの人にジョークを飛ばしながら、楽しそうに格闘していた。ガーデンパーティーだったので、やっと入った玄関から今度は庭に出てと、お気の毒。あとでイギリス大使と聞き、キャメロン首相もそうだが、若くて颯爽としている方が今のイギリスの政治界には多いのかと感心。ちなみに首相と一歳違いです。

 

 

-英国に奉仕する-

 

英国やアメリカで勉強したブレントン氏が、外務省を選んだ理由は、英国に奉仕したかったからだそうだ。日本では死語となった感がある愛国心ということばがフッと浮かんだ。奉仕という言葉がすらりとでるところは、アフリカで医師をされていたお父上の後ろ姿があったようにお見受けした。それと見知らぬ国の、特に文化に興味があったからともいう。「外務省に入った時、最初に申請した国が東京でした。しかし日本語がしゃべれないので無理でした(笑)」。

 

 

-イギリス料理-

 

イギリス料理に対する世界の評判はあまり良くないが、世界をまわっているのでどう思うかと尋ねると、「日本料理やフランス料理はとても繊細ですが、最近の傾向のモダン・ブリティシュもそれに匹敵します。3つ星をとるスターシェフも登場しています。嗜好も時代とともに変わりつつあると思います。しかし英国には以前から伝統的なgreat foodがたくさんあります」。とやんわり訂正された。“ジャムやマーマレード、ビスケット、サイダー、チーズ、スコッチサーモン、ウエリッシュラム・・・”。フムフムなるほど良い食材はたくさんありますが、料理にあまり手をかけないのではと反論すると、“ポークパイ、シェファーズパイ、ハギス、ヨークシャープディング、ベイクウエルタルト、トリフル、アップルクランブル、サマープディング・・・”いや~次々と出てきました。大使はおふくろの味がお好みのようである。

 

そのなかで初めて知ったのが、キッパーと呼ばれるニシン(またはタラ)の燻製だ。最近では大きなホテルでは出てこないが、イギリスの田舎などのホテルで朝食に出てくるらしい。朝食に魚や卵を食べる日本人はきっと好きだと思うと太鼓判を押してくれた。大使の説明によると、茹でて熱くしたキッパーの上にバターの塊りやポーチド・エッグをのせて出てくるらしい。フ~ン、燻製を茹でるのか・・・。茹でたら味がなくなってしまうのではないかしら? 料理法はともかく、キッパーなるものに興味をもった私は、魚の燻製ならベルギーにもあるはずと捜したら、ありました。サバやニシンの燻製がそのままでも真空パックでも売っていました。チョッとオーブン温めて食べるとなかなかいける。和風にタイ風にと工夫次第でいろいろに応用できそうだ。おかげでひとつ食材を覚えられたインタヴューだった。