コルクの話
2014年2月
皆さんはワインを開けた後、コルクをどうしますか? なんとなくテーブルに置き、そのうち捨ててしまっていませんか? 今回は、捨ててはおけないコルクの話です。
コルクとは
コルクとは、ポルトガルやスペイン、モロッコの北部など、地中海沿岸に育つコルクガシという樫の木から作られるものです。コルクガシを植えて25年ほどすると、幹の周囲には保護組織として10㎝以上の厚さの樹皮ができます。この表皮はスペリン(脂肪酸)を含んでいるため、水や気体を通しにくいので、コルクとして利用します。特筆すべきことは、表皮をはがしても約12年後には再び厚く成長することです。木を伐採する必要がない「環境にやさしい」、再生可能な天然の資源です。
歴史
コルクの歴史は古く、古代ギリシャやローマでは両取手つきの壺のふたとして既に使われていました。しかしその後なぜか忘れられ、コルクの「弾性と密封性」に気づいて、現在のようにワインのビンの栓として利用するようになったのはごく最近のことです。それ以前のワインは、樽に入れて売られていましたが、17世紀になってビン詰めになり、コルクが活躍するようになったというわけです。
コルクの「弾性」を発見したのは、イギリス人ロバート・フック(1635~1603)。同時代にはあの有名なニュートンがいます。ニュートンの「万有引力の法則」について、“あれは、ワシが先に見つけたものだ”と論争になったことで有名です。
では実際にコルクの瓶の密閉に利用しようと思いついたのは、誰なのでしょう。シャンパンの創始者、ドン・ペリニヨン師がシャンパンの密閉のために使ったとう説はなかなか説得力がありますが、実はイベリア半島の巡礼者たちが水筒の栓としてコルク材を使っていたのをみて、彼が応用したというのが正解でしょう。ちなみに、シャンパンのコルクはワインより太めでマッシュルーム型をしていますが、実はワインと同様、最初は真っ直ぐなコルクが使われます。それが瓶内のガスに押されてあのようなマッシュルーム型に変形したのです。
銘醸赤ワインのコルクは最上級
コルクはその品質によって4つに大別され、長さによって更に8つのカテゴリーに分けられます。もっとも良いとされるのは、上質な赤ワインの瓶に用いられるもので、切り取ったコルクをそのまま用い、長さは約5センチあり、長期の保存に耐えられます。一番安いのは、19世紀にアメリカ人、ジョン・スミスなる人物が考え出した、「コルク粒」を固めたもので長さも2センチほどで、安価な白ワインに用いられます。
そのほか、コルク粒を固めたものの上下に、まっさらなコルクを薄く切ってつけたもの、まっさらなコルクでもあまり品質の良くないもの、まっさらなコルクの上にプラスティックをつけたもの、シャンパン用の太いものなど、様々なものがあります。
コルクの弱み
さて、ビンの栓としてオールマイティな感を与えるコルクですが、問題点もあります。例えば、栓としてのコルクの理想的な状態は、湿度70~75%ですが、乾燥してしまうとコルクが縮み、隙間から雑菌が入りやすくなります。また、コルク自体のバクテリアの問題もあります。コルクのバクテリアがワインに移って、ワインが臭くなってしまったり、だめになったりして、世界中で年間約40億本のワインが飲まれず捨てられているそうです。そのためか、アメリカやオーストラリアなどでは、コルクの代わりにスクリューキャップが一時期多く出回るようになりました。ところが、このコルクの代替品、なかなか普及しません。このことは、ビンを開けた時あのポンという爽やかな音がしなければワインはワインではない、と考えている人が世界中にたくさんいるということでしょうか。
しかし、コルクの製造段階で1度高熱を当ててコルクを殺菌する方法が考案され、ワイン関係者を長年悩ませた問題が一挙に解決するという吉報もあり、コルクはますます重要視されています。
地球温暖化の歯止め
コルクの最大の生産地はポルトガルです。世界中で関心が高まっている環境問題に関していえば、ポルトガル政府の保護のもとにあるコルクガシの森は何百種類という野生動物の棲家で、生物多様性に貢献しています。地球温暖化の観点からは、ポルトガルのコルクの森だけで、約500万トンの二酸化炭素を取りこんでいます。
素晴らしい特質
前述したように、コルクの木を植えてから、最初にコルクが採れるのは25年後。しかし、最初に採れるコルクはまだ品質がさほど良くないため、採ってもほとんど使えません。次のコルクが出来るのはその12~13年後。実際に使えるコルクが採れるようになるのは、植樹してから35~40年後のことなのです。さらに、コルクガシの寿命は約160年。1本のコルクガシからコルクが採れる回数は、とても限られています。石油同様、貴重な資源なのです。
コルクには注目すべき特質があります。それは、コルクを一度コルク粒にしてから再生しても、その弾性、断熱性または保湿性などの、本来の性質は失われないという特徴です。こうしたことから、フランスやオランダ、ベルギーなどでは、コルクの回収運動が起こっています。
リサイクル
ベルギーでは、1997年からコルクの回収運動が始まりました。当初は50しかなかった回収場所も年々増え、今では約200ヶ所となり、回収数も300万本を超えています。
ブリュッセル市内の主な回収場所を下記しました。回収場所を提供しているのは、個人のボランティアが多いので、事前に電話で確認してください。また、コルクのみを回収したいので、プラスティックなどがついている場合は切りとり、コルクが呼吸できるように、コルクを入れた袋や容器は口を開けた状態にしておいて欲しいとのことです。たかがコルク、しかし、建築資材をはじめ、食器、紙にまでも再生される、丈夫で長持ちのする優秀な資源なのです。チリも積もればナントヤラ、皆さんのご協力をお願いします。
下記のホームページに回収場所が載っていますが、日本人が多く住む地区を明記しました。
また、ビオの店(自然食品店)などでも回収箱を置いてあるところもあります。
www.lepetitliege.be/cdr/prbr.html
ブリュッセル市内の主なコルクの収集場所
・Auderghem 1160
Boulevard des Invalides, 118 |
Mme Liliane Tackaert |
0475 520930 |
Chaussée de Wavre, 1801 |
CARODEC S.A. |
02 6722290 |
・Ixelles 1050
Chaussée d'Ixelles |
Magasin du Monde OXFAM |
・Woluwe-Saint-Pierre 1150
Val des Seigneurs, 146 |
Déchetterie de Woluwe-Saint-Pierre |
|
Rue au Bois, 365b |
M. Patrick Chappel |
02 7700562 |
Avenue Crokaert, 158 |
M. Bob Vandervorst |
02 7799450 |
Rue François Gay, 50 |
M. Jean-Pierre Alderson |
02 7709198 |
Avenue Grandchamp, 55 |
M. Michel Legros |
02 7624939 |
Boulevard de la Woluwe, 22 |
Collège Jean XXIII |
02 7710178 |
Avenue de l'Escrime, 84 |
Mme Anne Terlinden |
02 7703248 |
Avenue du Haras, 100 |
Centre de quartier "Joli-Bois" |
02 7799122 |
Avenue du Chant d'Oiseau, 40 |
Centre de quartier "Chant d'Oiseau" |
02 6737673 |
Rue François Gay, 326 |
Villa François Gay |
02 7728689 |
Rue Au Bois, 11 |
Centre de quartier "Crousse" |
02 7718359 |
・Watermael-Boitsfort 1170
|
Parc à conteneurs |
02 6747437 |
Administration communale |
||
Avenue des Naiades, 2 |
Mme Alexandra Bon De Sousa |
02 6609479 |
Rue du Bien-Faire,20 |
Bibois |
02 6752021 |
Place Gilson,2 |
Commune de Boitsfort |
02 6747578 |
Rue Frémineur,21 |
Mme Josiane Gekiere |
02 6730673 |
・Woluwe-Saint-Lambert 1200
Gulledelle, 100 |
M. Francis Moureau (I.B.G.E.-B.I.M.) |
02 7757650 |
Rue Voot, 91 |
Les Ateliers de la rue Voot |
02 7624893 |
Avenue des Constellations, 41 |
M. Marcel Gilon |