忘れられた野菜(1)ケール(chou Kale)

2015年11月

 

 

最近よく聞く言葉に「忘れられた野菜」というのがあります。これは今回ご紹介するケール(chou Kale)、そしてトピナンブール(キクイモtopinanbour)や根セロリ(persil tubéreux)、コールラビ(chou-rave)などのことです。


なぜ忘れられたのでしょうか? これらの野菜は昔から栽培され庶民の食卓を飾ってきましたが、2度の大戦中、野菜といえばこれらしか手に入らず、戦時中を過ごした人々にとってはあまり良い思い出がないうえ、白アスパラなどのスター野菜の登場もあり、すっかり忘れられてしまったのです。ところがこの数年来、「古代種の野菜」を見直す運動が星付きシェフたちから発信され、不死鳥の様に復活しました。しかもこの不死鳥の野菜は安いうえに栄養満点。健康志向の現代の風潮にピッタリな優良野菜といえます。


ケール(chou Kale)


地中海沿岸地帯で栽培されてきたケールは、アブラナ科の野菜で、キャベツの仲間です。古代ギリシャ・ローマ時代にすでに食されていた2000年の歴史をもつ野菜です。中世には農民の冬の主食にもなっていました。特にスコットランドやドイツ、オランダ、スカンジナビアなどの北ヨーロッパで栽培され、北アメリカには17世紀英国人が持ち込みました。最近、ハリウッドスターたちの間でダイエット食品としてブームとなり、知名度が上がりました。

 

栄養成分

 

カロリーが少なく(100g当たり生で50カロリー、加熱すると32カロリー)、植物繊維が豊富なことでダイエットに適しています。しかしなにより素晴らしいのは、ビタミンAとC、カリウムが豊富なことです。また、ビタミンB6、銅も多く、ビタミンK、葉酸、カルシウム、鉄、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、亜鉛も含みます。嬉しいことに加熱してもビタミンAとCが失われず、ビタミンB6、カルシウム、鉄、葉酸もあります。優れた抗酸化力があるので、アンチ・エイジング(老化防止)の食品といえます。


食べ方

温野菜のケール
温野菜のケール

葉はしっかりと硬いうえ香りが強いので、あまり生食には向いていませんが、若い葉は他の葉野菜と混ぜてサラダにすると食感の差が楽しめます。スープやグラタン、じゃがいもと合わせてピューレなどに適し、ジェノバ風のペスト(ペスト・ジェノヴェーゼ)のバジルの代わりにケールでペストを作りパスタと合わせても美味しく、他の果物と一緒にスムージーに。和風では鍋もの、さっと茹でたり蒸したものを炒めても美味しく、お好み焼きにも適しています。目先の変わったものではケールチップスがあります。パリパリ、サクサクと焼きあがるのでいくらでも食べられます。


ケールチップスの作り方

ケールチップス
ケールチップス

ケール200g、オリーブオイル(大さじ2~3)、塩少々

 

①オーブンを150℃前後に余熱する。

 

②ケールの葉を茎から引きちぎり、葉を一口大にちぎり、よく洗う。かなりしっかりした葉なので、大量の水のなかでもみ洗いするように洗いゴミなどを除く。サラダスピナーで水分をよく切る。

 

③②をボールに入れ、オリーブオイルと塩をかけて軽く混ぜる。

 

④天板になるべく重ならない様に広げ、乾燥するまで約15分焼く。焦がすと美味しくないので、途中でチェックする。触ってみてパリッとしていたらOK。熱風循環式オーブン(コンベクションオーブン)または普通のオーブンなどオーブンの種類により、温度や焼き時間が違うので、何回か試してください。

 

*なるべく上質のオイルや塩を使うことが美味しいチップスのこつです。

 

 

ケールのペストの作り方

 

ケール100g、にんにく1片、スライス・アーモンド50g、パルメザンチーズ60g、オリーブオイル1,5dl、

塩とコショウ。

 

①ケールの葉はよく洗い、にんにくはみじんに切る。

 

②ブレンダーにオリーブオイル以外を入れ、いったん混ぜる。オリーブオイルを足してさらに混ぜる。

 

③塩・コショウをして再度混ぜて滑らかなペストにする。

 

スライスしたバゲットのトーストに塗ったり、野菜のディップにも適している。