Mr.Hakan Olcay Ambassador of Turkey

2014年8月

 

2014年のフラワーカーペットは、トルコ人の移民50周年を記念して「トルコ絨毯」のデザインが採用されたうえ、2015年の「ヨーロッパリアEuropalia」でもトルコの紹介が決まっています。ベルギーでの大々的なトルコ年となる時に赴任された大使にお話を伺いました。

 

 

大使は、外交官のお父様の赴任先のエチオピアで生まれました。お父様の仕事上たくさんの国に住み、いろいろな人に会う機会に恵まれたせいもあり、活発な少年は外交官の道を選びました。ロスアンジェルス大学で勉強、アムステルダムで大学院を卒業して外交官になりました。

 

 

「ベルギーに赴任したのが一年半前です。ドイツ、旧ユーゴスラビア、キューバ、コソボなどで働き、ベルギーの前はアムステルダムでした。トルコとベルギーの関係は1840年から始まっていることもあり、現在は22万人のトルコ人が住み、その80%はベルギー国籍です。また、ベルギー議会には13人のトルコ系ベルギー人が議員となっています」。

 

 

世界3大料理

 

トルコ料理は、フランス料理、中華料理とともに世界3大料理の一つといわれています。現代なら日本料理もイタリア料理も入りそうですが、オリエンタルブームだった19世紀、中央アジアに広がるトルコ語圏(チュルク語)民族の料理と、その近隣のギリシャなどの地中海料理が混ぜ合った「トルコ料理」がグルメの憧れでした。昨年「和食」とともに、「トルココーヒーの文化と伝統」がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、食に関しては美味しいことで知られています。

 


 

大使にお目にかかった時は、イスラム教のラマダン(断食)の時期でしたが、トルコの代表的スイーツのバクワラとチーズとホウレン草のパイ皮包み(名前は失念)を用意してくださいました。前者は小麦粉で作った薄い生地の間に、挽いたピスタチオをはさみ何層にも重ねた上にシロップをかけて焼き上げたもの。ホロホロとくずれる皮の間の美味しいピスタチオと、甘さ控えめのシロップでとても上品な仕上がりです。もう一品も、きれいな層の間のチーズとホウレン草、やみつきになるほどの美味しさ。さすが世界3大料理!何も召し上がらない大使の前で、一人で食べるのは気が引けましたが、食後のトルココーヒーもしっかり頂きました。

 

 

 

トルコの絨毯、キリム(Kilim)について

 

今回のフラワーカーペットの幾何学模様のモチーフは、アナトリア・キリムと呼ばれる、アナトリア地方で織られる織物からきています。キリムとは、アナトリア高原から中央アジア一体に住むトルコ語を話す遊牧民が織る「平織り」の織物のことで、敷物に限らずテント生地なども総称してキリムと呼びます。羊の毛を刈り草木で染色した遊牧民が育んだ日用品なのです。模様には様々な意味があり、魔除けのサソリ、命の樹の守護神のドラゴン、豊穣を意味する羊の角、良縁を意味するS字模様などがあります。平織りなのでパイル織りの絨毯(カーペット)の様に毛足が長くありません。小アジアから北アフリカ全域で8千年も前から織られていましたが、アナトリアのものが色も芸術性にも特に優れているといわれています。