9/11(Nine Eleven)
2014年9月
アメリカでNine Eleven(9/11)といえば、2001年9月11日に起こった同時多発テロをさします。読者の皆さんは当時どこでそのニュースの第一報をお聞きになりましたか?私はベルギーにおり、ブリュッセルの我が家でいったい何が起こったのかとテレビの前でCNNにくぎ付けになっていました。ベルギーでも日本でも、世界中で大きなニュースになりましたね。
そして10年以上がたち、跡地の建設現場を毎日のように通り過ぎる日常を送るようになるとは当時は想像もしませんでした。ニューヨークに赴任した頃には半分ほどしか高さがなかったワン・ワールド・トレード・センタービル(1WTC)も3年の月日がたってほぼ完成し、すっかり大きくなりました。尖塔がトップに取り付けられた時には「西半球一の高さ」とさかんに報道されていました。
2011年にオープンした当時は完全予約制だった9/11メモリアル広場も2014年5月にはミュージアムの完成と同時にフェンスが取り払われ、誰でも自由にアクセスできるようになりました。この広場はビルの倒れた跡地をプールにて、滝が流れるようになっており、ここだけ夏でもひんやりとしています。その周りにはぐるりと約3000人の犠牲者の名前が彫られており、そっと指でなぞる人や一人ひとりの名前をじっと見ていく人たちがいます。
そして予定から大幅に遅れてやっと完成した9・11ミュージアムの開館式には、オバマ大統領夫妻や歴代の大統領、ニューヨーク市長などそうそうたる人々が参列しました。
余談ですが、オバマ大統領がワシントンDCからマンハッタンにやってくると、通称「オバマ・ブロック」という通行止めがあちこちで行われ、交通は大混乱します。私はオバマさんの車列見学にふらーっとでかけ、道の向こうに見える我が家まで1時間以上帰れなかったことがあります。
写真をクリックすると大きな画像と説明が表示されます。
さて、ミュージアム。広島や長崎の原爆資料館やイスラエルのホロコースト・ミュージアム、どこでも犠牲者が多く出た地ではその遺品や残された痛々しいものや写真が展示されているものです。9/11メモリアルミュージアムもねじ曲がった鉄骨や灰だらけの靴、灰塵の中からみつかった犠牲者の指輪など、当時の状況をまざまざと思わせるものが多数展示されています。そしてところどころにティッシュが備え付けられているのは涙をふくための配慮でしょうか。何人かお子さんを連れている方もお見かけしましたが、館内は暗く、展示物もショッキングなものが多いため、あまり小さいお子さんを連れての見学はお勧めしません。メモリアル広場までにとどめておいたほうがよいでしょう。
マンハッタンに9月11日に滞在することがあれば、ダウンタウン方面の夜空を見上げてみてください。倒れたツインタワーを偲んでともされる青い光のタワーが見えるかもしれません。