2015年4月
タイは今、一年で最も暑い夏の真っ只中です。一年中暑い南国にも夏があるの?と思われるかもしれませんが、南国にも三季あります。3月~5月が暑季、太陽が限りなく赤道に近づき気温が最高潮に達する夏。6月から11月が雨季、雷とともにバケツをひっくり返したような雨が日に一度は必ず降ります。12月~2月が乾季、全く雨が降らなくなり気温も25度前後と涼しい冬。大きな気候の変化ではありませんが、季節によって咲く花が変わり、デパートにはコートやブーツ等の冬物が登場したりと、タイの人々は季節を楽しんでいるようです。
気温40℃を超えることもある4月、正午頃には太陽が頭の真上からじりじりと照り、外を歩く人の影は足元に小さくできるだけで、電柱や車の影もなくなってしまいます。うんざりするほど耐え難い暑さが続きますが、嬉しいことにドリアンやマンゴスチン、パパイヤ、マンゴーなど様々なトロピカルフルーツが甘く美味なる果物の旬の時期なのです。
3月~4月ごろに、太陽がギラギラ照る合間にザッと降ってカラッと上がる雨を「マンゴーシャワー」といいます。この雨が降るとマンゴーの実はどんどん大きく、甘く美味しくなるという、まさに天の恵みの雨です。
マンゴーには、未熟の緑色のグリーンマンゴーと黄色く熟したマンゴーがあります。グリーンマンゴーの皮は緑色ですが、果肉は黄色くカリカリとした食感で、酸味があり甘味が薄いので、スパイスの効いた甘辛のディップや唐辛子入りの砂糖をつけ食べるのがタイ人好みで一般的。細く切ってサラダにすると、爽やかなトロピカル風味でおいしくいただけます。黄色く熟したマンゴーは、柔らかく滑らかな食感と蕩けるような甘さで、ジュースやお菓子などデザートにと欠かせません。
タイでは60種ものマンゴーが栽培されていますが、なかでもナムドクマイ種はマンゴーの最高峰といわれています。ナムドクマイはタイ語で「花の雫」という意味で、その名の通り「しずく」のような美しい形です。濃厚な甘みの中にほのかな酸味があり、まろやかな食感と香りは、優雅さを感じます。このナムドクマイを使ったタイを代表するデザートが「カオニャオマムワン=マンゴーのもち米添え」です。
タイ語でカオニャオとはもち米、マムワンはマンゴーのこと。甘塩っぱいココナッツミルクを絡めたもち米と熟したマンゴーに甘塩っぱいココナッツミルクソースをかけて頂きます。もち米の上に炒った緑豆(黄色の小さい粒粒)をパラパラと飾りますが、このカリカリさが食感を際立たせます。もち米とマンゴー、甘さと塩ッぱさのミスマッチがなんとも旨くマッチした美味しさ、一度食べたら忘れられない味です。家庭でも簡単に作れますが、手間をかけずに即美味しくいただけるので、私はついついで出来上がったものを買ってきてしまいます。カオニャオマムワン専門店があるほどに、タイ人の大好きな定番のおやつです。酒飲みや甘いものはちょっと勘弁という人でさえも、美味しかったと満足すること間違いなしでしょう。
カオニャオマムワン(マンゴーのもち米添え)
材料(2人分)
マンゴー1個
炊いたもち米 1合
ココナッツミルク 1/2カップ
A砂糖80g
塩 小さじ1/2
B塩、片栗粉 各小匙1/4
水大匙1
作り方
① 小鍋にAと水60㏄(分量外)を入れて火にかける。砂糖が溶けたら火を止め、ココナッツミルクの分量から大匙2、油大匙2(分量外)を加えて混ぜ、ボウルに移す。
② 炊いたもち米を熱いうちに加え、全体を混ぜる。冷ます。
③ 別鍋にBと残りのココナッツミルクを入れ火にかけ、とろみがつくまで混ぜる。
④ ②と皮をむいて食べやすく切ったマンゴーを皿に盛り③のソースをかける。
※炒った緑豆が手に入れば、パラパラと飾る。