サンカントネール博物館のエジプト展
2016年2月
エジプト展「ヌトの星のもとで」
サンカントネール博物館では現在「ヌトの星のもとで」というタイトルで、古代エジプト人の死生観を浮き彫りにした展覧会を開催中だ。 「ヌトNut (Nout)」とは、古代エジプト神話に登場する天空をあらわす女神のことだ。西に沈む太陽を飲み込み、12時間後、東から送り出す(復活させる)とされる「死と再生」を司る神である。古代エジプト人が渇望したのはまさに来世での永遠の命への復活である。
当展示会は、夜間12時間を表す時代順の12ヶ所の部屋に分かれ、古代エジプト人の埋葬への考えを紹介している。見事なミニアチュアの泣き女達の像が静かに迎えてくれる静粛な部屋から始まり、テラコッタや大きな一枚石で造られた原始王朝時代の棺、パピルスに書かれた死者の書、数々の埋葬品、猫や犬、ワニのミイラなど、大部分が初公開の当博物館が誇るものばかりだ。
圧巻はハトシェプスト女王が建設した、ディル・エル・バハリの葬祭殿から出土した極彩色で飾られた二重の人型の木棺だろう。また、死者を包み込むように両手を広げているヌト女神が描かれた棺の蓋が見られるのも貴重である。最後の会場では、イタリア人の専門家による木棺の修復作業も見学できる。
photo©kmkg-mrah
サンカントネール博物館
Musée du Cinquantenaire
Parc du Cinquantenaire ,10
1000 Bruxelles Belgium
Tel: +32 2 741 72 11
開催期間 4月20日2016年まで
火曜日~日曜日10:00~17:00 定休日 月曜日
入場料 13ユーロ
本:
SARCOPHAGES
SOUS LES ÉTOILES DE NOUT
Luc Delvaux & Isabelle Therasse
Edition Racine
21 x 24 cm 208ページ € 27,50