L’IDIOT DU VILLAGE

2012年9月



“村のおバカさん”というユニークな名前のレストランがサブロン広場近くにある。由来を聞く「ここに来て、我々を見ていれば納得でしょ」とウイットに富んだ答えが返ってきた。店内のインテリアといい料理といい、とにかく“遊び心”に溢れている。一つ間違えればガラクタの寄せ集めになってしまうインテリアを、お洒落で粋な雰囲気に仕掛けたのはオーナーのオリビエさん。さすが建築家!というと「建築の勉強なんて何の役にも立っていませんよ。人の真似や、今流行っているからというのが好きじゃないだけ。うぬぼれなんかじゃありませんが、良くても悪くてもこれが “僕”なんです。アラン(共同経営者のシェフ)の料理もそうでしょ?彼の個性が光っていると思いませんか」。

 

 シェフのアランさんは、“塩の華”で有名なゲランド(ブルターニュ地方)出身のフランス人。パリの名門レストラン、リュキャ・キャルトン(現サンドランス)でみっちり修業。旬の素材の思いがけない組み合わせを次々に創作し、舌の肥えた客達をうならせている。料理人たるもの“ミッシュランの星”を意識しないかと不躾な質問をした。「しません!星が付くとお客さんは批判や欠点を見つけるために来るようにもなります。店もワイングラスをクリスタルに換え、たくさんの花をいけたりし、それは値段に反映されます。僕は、お客さんにはおいしい物をそこそこの値段で食べてもらい、満足して店を出てもらいたいのです」。

 

 古ぼけたエントランスの店にチョッとびっくり。でも出る時は大満足。客は必ず店のカードをもらって帰ります。吟味された食材で、アラカルトもランチもハズレはなく、毎日行っても飽きません。生のフォワグラのソテーが食べられるのも嬉しい。デザートはサクサクしたパイ皮が最高においしいリンゴのタルトやクレームブリュレ、その他創作デザートが目白押し。夜の雰囲気がまたいい。実業家からパオラ王妃やハリウッドの女優、パリコレのデザイナー、アレッこの顔知っているといったセレブもヒョコッと来るので、あなたも誰かに会えるかも。でも食事を楽しみに来ているのでサインなどはねだらないこと。

 

L’IDIOT DU VILLAGE

19, Rue Notre Seigneur 1000-Bruxelles

Tel : 02-502-55 82

定休日:土・日曜日