カフェ・メトロポール Le Café Métropole

2017年6月

カフェ・メトロポール
カフェ・メトロポール

「カフェ・メトロポール」について書く前に「ホテル・メトロポール」について少々。
ブリュッセルの下町、アンスパック大通りにあるホテル・メトロポールは創業1895年という老舗のホテルだ。自由なエスプリと創作活力に満ちた華やかなベルエポックの時代に贅を尽くして建てられ、その華麗な内装とサービスで、世界中の皇族や貴族、政治家、社交界のスターが集うところだった。アイゼンハワー大統領、ドゴール大統領、イラン皇帝(パーレビ国王)などその他顧客リストは長いが、今でも語り草となっているのが、このホテルに20世紀の偉大な物理学者たちが集まったエピソードだ。
時は1911年10月、ベルギーの化学者であり実業家のソルヴェが提案し、アインシュタイン、マリー・キューリー、マックス・プランク、アンリ・ポワンカレら6人が集合し、近代物理学について4日間討論した。それを記念して部屋にはキューリーやアインシュタインなどの名前がついている。


ホテルはフレンチ・ルネッサンス様式のメインエントランス、帝政様式のロビー、アールヌーボー様式のステンドグラス、イタリアンバロックのレセプションホール、アールデコやルイ16世風の部屋など、色々な装飾が混合している。2002年ブリュッセル市はホテルのファサードと地上階にあるカフェを市の重要文化財に指定した

 

カフェ・メトロポール
カフェ・メトロポールはホテルの入口の右側にあるが、ホテル内からも入れる。内部は世紀末の古き良き時代がそのまま残っており、輝くシャンデリアのもと、時までがゆったりと流れるようである。実はこのカフェ、ホテルより5年ほど前に、ブリュッセルのビール醸造者ウイルマンス兄弟社が自社ビールの宣伝のために作ったカフェだった。カフェは大繁盛し、裕福な階層が集まるところとなった。そこで後ろ側の建物を買収・拡張してホテル・メトロポールが作られたというわけだ。

カフェの内装はクラシックだが、飲食に関してはモダンだ。メニューはブラッスリーの定番料理やベルギーの郷土料理だが、いずれも創作性に富み美味しい。例えば、鶏のワーテルゾーイ(鶏のホワイトソース煮)。通常は鶏と野菜のごった煮のスタイルで登場するが、ここでは、野菜を巻きこんだ胸肉と骨付きのもも肉に軽いソースが添えてある。デザートのティラミスには、ベルギーのスペシャリティ「スペキュロース」のクランブルがトッピングされている。尚、当店のクラブサンドイッチは2012年ベルギーのベストクラブサンドイッチに選ばれた。牛肉のタルタルソースや自家製のスモークサーモンなどのアラカルトの他、メニュー(18 €または37€)もある。午後のお茶をしたい人は数種類あるホームメイドのタルトもいいだろう。

 

 ※写真をクリックすると拡大されます。

ブラッスリーなので飲み物は豊富だ。例えばビールは有名なものからこだわりのものまで揃っている(l’Abbaye de la Cambre, Zinnebier , la Jambe de Boisなど)。一世を風靡した カクテル黒いロシア « Black Russian » はなんと1949この場所で生まれたそうだ。火曜日の夜はホテル内のバー "Le 31"でモダンジャズのライブがある。

Hotel Métropole
Brasserie-restaurant "Café Métropole"
Place de Brouckère ,31
1000 Bruxelles
Tel : +32 2 217 23 00
http://www.metropolehotel.com/en